減感作療法
アレルギーの唯一の根治療法として、減感作療法があります。皮下注射を数日おきに行う皮下免疫療法、舌下に薬液や錠剤を毎日置く舌下免疫療法、アレルギーのある食物を少量ずつ摂取していく経口免疫療法があります。当院では皮下免疫療法と舌下免疫療法を行っております。どちらの治療も特定のアレルゲンにアレルギーがあることを血液検査で確認した上で行います。
- 皮下免疫:
保険診療が可能な抗原の種類は、鳥居薬品製のスギ・ダニ・ハウスダスト・ブタクサ・カンジダなどです。ただ、日本で認可されている抗原の数はそれほど多くないので、そのほかの抗原(カビ混合・白癬菌など)をご希望の方には、公益財団法人日本アレルギー協会を経由して、米国ALK社製のエキスを輸入して実施しています(自費)。
- 舌下免疫:
スギを対象としたシダキュア®と、ダニを対象としたアシテア®・ミティキュア®が保険適応です。併用も可能です。
すでに舌下免疫をされた方の多くが、翌期の花粉シーズンを快適に過ごしています。数日で維持量に到達することや、注射の痛みがないことがメリットです。服薬の継続ができるかどうかがポイントです。
舌下免疫療法の初回投与日は、院内で舌下後に30分待機が必要となりますので、待機時間も含めてご予定いただきますようお願い致します。
服薬アドヒアランスを高めるために、遠隔診療「curon」を利用することも可能です。 - <参考>
トリーさんのアレルゲン免疫療法ナビ
https://www.torii-alg.jp/patienty/
- 経口免疫:
小児の卵アレルギーなどに対して、厳重な監視下の下、少量ずつ抗原タンパクを摂取させる方法です。入院設備が必要ですので、実施病院をご紹介しています。
治療対象となる疾患
アレルギー性鼻炎、気管支喘息
治療のながれ
1.治療をするアレルゲンを決めます
当院では採血をし、アレルゲンとなり得る物質を数種類調べます。 結果は約1週間後に判ります。 その結果を見て、季節やアレルギー反応の強さなどを考慮し、アレルゲンを決定します。
- 現在治療できるアレルゲンエキス
→ スギ花粉、ハウスダスト、ブタクサ花粉、そば粉、真菌等 - 診断用のものを準用して治療に用いるもの
→ カモガヤ等の花粉、食物、繊維 - 治療用エキスが無いもの→ ヒノキ
2.治療を開始するアレルゲンエキスの濃度を決めます
アレルゲンエキスに対する反応は個人によって差があります。アレルゲンエキスを非常に薄くしたものを腕の内側の皮肉に注射し、反応を見ます。このときは濃度を決めるために、3~4ヶ所にそれぞれ濃度の異なるものを注射します。15分後に判定をします。
3.次回診療時よりアレルゲンエキスを注射します
注射の量は、1段階(1つの濃度)に7ステップあります。注射は、上腕の皮下に行います。
0.02ml
→ 0.03ml
→ 0.05ml
→ 0.07ml
→ 0.1ml
→ 0.15ml
→ 0.2ml
1回に投与するアレルゲンエキスが0.5mlに達すると、アレルゲンエキスの濃度を10倍にしたものを1/10量注射し、同じく7ステップに分けて注射します。最終濃度・投与量に達したところで、今度はそれを維持量として、同じ量の注射を続けます。
アレルゲンエキスの増量中は1週間に2回注射されることを目標としますが、必ずしもその通りにしなくてはならないわけではありません。ただ、維持量の濃度に達するまでの時間はかかります。 また、2日続けて注射をするのは原則として避けています。
最終濃度・投与量に達したところで注射の間隔を週に1回、さらにそこから2~4週間に1回と間隔を空けていきます。この維持量の注射を約3年間続けてもらいます。
☆ 減感作療法により、無症状もしくは軽症に治まった患者さんは70%以上おります ☆
治療上の注意点
- アレルゲンを注射するため、注射後にアレルギー症状を起こす恐れがあります
・ 注射部位の腫れ、かゆみ ・くしゃみ、鼻水 ・ じんましん ・息苦しさ - 注射後は30分程度、院内にいていただくようお願いします。
特に治療を開始してから3回目までは必ず守ってください。
一般的な注意点
- 規則正しい生活やバランスのとれた食事を心がけましょう
- 鼻や気管の粘膜を刺激するのでなるべくタバコは控えましょう (禁煙をしたい方には、禁煙治療を保険内で提供いたしますのでご相談ください)
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