2023年の夏は猛暑だったため、来シーズンのスギ花粉の飛散量が多いことが予想されます。
当院では、シーズン中の対症療法以外に
1.減感作療法:皮下免疫療法/舌下免疫療法(自由が丘/大塚)
2.生物学的製剤(自由が丘/大塚)
3.鼻粘膜レーザー焼灼(大塚のみ)
といった専門性の高い治療を行なっています。
1.減感作療法
アレルゲンを極少量から徐々に体内に投与することで抑制性のT細胞を誘導し、アレルギー反応を起こしにくい体質を獲得する「根本的治療」の一つとして位置づけられています。
スギ花粉が飛散していない時期(概ね年末まで)に開始します。血液検査で「スギ花粉特異的IgE抗体」が陽性であることを確認します。過去の採血データがある方はお持ちください。
①皮下免疫療法:対象年齢:制限なし
⚫︎皮内注射テストによる開始濃度決定
⚫︎増量期:週1-2回の通院で維持量まで約20段階増量していく
⚫︎維持期:段階を経て2-4週毎の通院で4年ほど治療
⚫︎効果を持続するために3か月に1度程度の注射で維持することも可能
⚫︎スギの他に、ダニ・ハウスダスト・ブタクサが保険適応で、イヌ・ネコ・イネ科・樹木・ヒノキ(Mountain Ceder)・カビは自費診療で実施可能
⚫︎海外のアレルギー専門医が作成したエキスを当院で継続接種することも可能です。
メリット:維持期には月に1~2回の注射で済むので、手間と医療費を節約できる。
デメリット:注射が必要。増量期に頻回の通院が必要。副反応が比較的多い。
②舌下免疫療法 対象年齢:5歳から
⚫︎初回投与:2000JAUを院内で舌下し30分待機して副反応の有無を確認
⚫︎増量期:1週目は2000JAUを毎日舌下、2週目以降は5000JAUを毎日舌下
⚫︎維持期:5000JAUの舌下を毎日4年ほど継続
⚫︎スギとダニの2種類がありともに保険適応
メリット:自宅で服薬できる。通院回数が少ない。注射しなくて済む。副反応が少ない。
デメリット:毎日服薬する必要があり、薬剤費がかかる。
※2023/2024シーズンの舌下免疫療法の開始について、シダキュア®️2000JAUの供給量が少なくご不便をおかけしています。治療開始ご希望の方は薬剤が準備できましたらメールにてご連絡いたしますので、お問い合わせ下さい。
2.生物学的製剤
アレルギーを引き起こす抗体であるIgE、これを無力にするために結合する抗体(抗IgE抗体)を注射して、アレルギー反応を上流で食い止める治療です。
免疫学の研究成果が臨床に応用されたもので、ピンポイントでアレルギーを引き起こす免疫機構を抑制することができます。
一方、ステロイドや免疫抑制剤は広範に免疫力を落とすため、多くの副反応があります。ステロイドを使わざるを得なかった重症の花粉症には良い適応になります。
対象年齢:12歳以上
投与期間:症状がある期間(約2-3か月)
治療条件:
⚫︎前シーズンに重症な症状があった方
⚫︎花粉症の治療を1週間以上行い、効果不十分であった方
⚫︎12歳以上で、血清中総I g E濃度が30-1500IU/mL、体重が20-150kgの範囲にある方
⚫︎スギ花粉の特異的I g Eがクラス3以上の方
スケジュール:
【1回目受診】
⚫︎問診・診察・血液検査(未実施の場合)
⚫︎既存治療開始(抗ヒスタミン薬、点鼻薬等)
【2回目受診(1回目から1週間以上経過)】
⚫︎既存治療の効果判定。血液検査結果説明:治療条件を満たすことを確認し、投与量/投与間隔と自己負担額を決定
⚫︎注射投与➕併用薬の処方
【3回目以降】
⚫︎スギ花粉シーズン中、2週間または4週間毎に投与
花粉症以外の治療:
生物学的製剤は多種類あり、重症の喘息・難治性のアトピー性皮膚炎・難病である好酸球性副鼻腔炎などに効果があります。詳細はご相談ください。
3.鼻粘膜レーザー焼灼(大塚院で実施しています)
アレルギーを引き起こす粘膜を季節前にCO2レーザーで焼灼することで反応を最小限に抑えることができます。局所麻酔を用いて30分程度の外来処置で済みます。大塚の耳鼻科外来にて実施しています。