骨粗しょう症
運動器の障害のために移動機能の低下をきたした状態を 「ロコモティブシンドローム(ロコモ)」といいます。
ロコモによる寝たきりを防ぐためには、骨の質と量を維持することが必要です。骨密度を定期的に評価し、運動療法や食事療法を取り入れながら、骨の減少をいかに防ぐかについて診療いたします。
骨粗しょう症の研究の成果である複数の代謝マーカーを参考にしながら、骨がスカスカにならないうちに体に優しい薬を使用することで、健康な生活を維持するための医療を提供いたします。
骨粗しょう症は骨を形成する細胞(骨芽細胞)と、骨を分解する細胞(破骨細胞)のバランスが崩れることが原因です。年齢を重ねると、骨の新陳代謝が遅くなり、骨の量が減少します。高齢者や特に女性は閉経後に骨密度が急激に低下することがあります。外来では定期的に骨密度の変化や治療の効果をモニタリングし、日常生活をより安全に行えるようにフォローしています。
診断
- 骨密度測定(DXA法など):骨密度を測定し、骨粗しょう症の有無を確認します。
- 血液検査:カルシウム、ビタミンD、ホルモンバランス、腎機能などを確認し、骨粗しょう症の原因を調べます。
- 骨折歴や家族歴の確認:過去に骨折したことがあるか、家族に骨粗しょう症の人がいるかなどをヒアリングします。
治療
- 骨密度を高めるための薬(ビスフォスフォネート、カルシウム製剤、ビタミンDなど)の処方を検討します。
カルシウム製剤
カルシウムを摂取することで、骨の原材料を補充します。
活性化ビタミンD3
カルシウムの吸収に必須のビタミンであり、体のバランスを強化する作用があります。また転倒防止に役立つ効果もあります。
ビタミンK
検査によってビタミンKが不足していることがわかりましたら、製剤による補充が可能です。ビタミンKは骨を作る作用を促進し、骨を壊す作用を抑制します。
選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)
女性ホルモンの補充は骨粗しょう症の治療手段としてエビデンスがありますが、保険上認められておらず、またエストロゲン製剤が乳がんを発生させることも分かっています。SERMは骨に対しては、エストロゲンと同様の作用をして骨質を改善する一方で、乳腺や子宮では反対の働きをするために、乳がんのリスクを有為に下げることが分かっています。閉経前後でSERMを使用することは理にかなったエレガントな治療法といえます。
ビスホスホネート製剤
骨を溶かす細胞(Osteoclast)を抑えることで骨粗しょう症を強力に抑えることのできる、エビデンスの確立した薬です。毎日服用するものから、1週に一度、1ヶ月に一度の内服で済むようになりました。月1回の注射薬もあり、より強力な作用を持っています。
ただし、長期に漫然と使用することで、骨が硬くなりすぎ、抜歯などの後に顎骨壊死(MRONJ)を起こしたり、非定型骨折という普通では起こらない骨折が起きたりすることが報告されています。当院では、代謝マーカーや骨密度を詳細に分析することで、副作用を最小限に抑えながら、効果的に薬剤を使用します。
PTH製剤
骨形成を直接促すホルモンの注射です。骨吸収よりも骨形成が不足している場合に用います。前述の顎骨壊死や非定型骨折の治療にも使用されています。
抗RANKL抗体
骨免疫学の成果から作られた注射薬で、6ヶ月に1度の注射で背骨の圧迫骨折のリスクを66%下げたと報告されています。
抗スクレロスチン抗体(ロモソズマブ)
骨免疫学の成果から作られた最新の注射薬で1か月に1回12か月間に限って注射ができます。骨吸収を防ぐとともに骨形成を促す両面の働きがあります。


